離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「全然。私のほうが早く到着してたんだし」

 私は福岡から戻ってきたばかり、夕菜は広島からだ。今日はふたりともランチ休憩が東京になる予定だったので、ここで待ち合わせをしていたのだ。

「あ~、おなか空いた!」

 山菜そばをすする夕菜に思わず見とれてしまう。

(いつ見ても本当に美人だなぁ)

 メイク映えする白い肌、ぱっちりとした二重瞼にくるんとカールした睫毛、女性らしい厚めの唇。コマーシャルの出演本数ナンバーワンの某人気女優にちょっと似ている。

(この美貌で国立大卒のトリリンガルだもんなぁ。みんなスペック高すぎだよ……)

 夕菜はお父さんが音楽家だったために子どもの頃は海外を転々としていたそうだ。英語だけでなくドイツ語もネイティブレベルだ。
 CAは様々な能力を必要とされるが語学は特に重要だ。

「私も学生時代に留学をしておけばよかったなぁ」

 周囲と比べても仕方ないと思いつつも今日も語学レベルをチーフに注意されてしまった身としては深刻な悩みだ。

「まぁね、会話力はやっぱり現地で暮らすのが一番磨かれるよね。とはいえ、この仕事は留学並みに生きた外国語に触れられるじゃない。これから、これから!」

 ポジティブな夕菜はそんなふうに励ましてくれる。

「それにさ、語学力は努力で身につくけど……美紅の身長は私には絶対に手に入らないものだしうらやましいよ」

 夕菜は上目遣いに私を見あげる。
< 22 / 183 >

この作品をシェア

pagetop