離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「そ、そうなんだ」
「御曹司だから社内は面倒なんじゃないかな? 今はDLC航空のCAと付き合ってるってうわさだよ」

 DLC航空はうちと国内シェアを二分する大手だ。空港が出会いの場になるのか、同業他社同士の恋愛話は時々聞く。

(DLC空港のCAかぁ、どんな人なんだろう?)

 夕菜の推測は正解でたしかに私は大門コーパイに憧れているけれど……彼の恋人に嫉妬する気は起きなかった。夕菜のような才色兼備の女性にとっても彼は高嶺の花なのだ。自分にはとても手が届かないことは十分にわかっている。

「それより美紅とこういう話をするのって初めてじゃない? ちょっとうれしいかも」

 どことなくウキウキした様子で夕菜は笑う。

「そういえばそうだね。別に恋愛の話が苦手なわけじゃないんだけど、私は本当に浮いた話がないから」

 夕菜を信用していないとかではなく報告するようなことがなにもないだけなのだ。

「この仕事は不規則で土日休みの会社員とはなかなか予定が合わないし恋人を作るのもひと苦労よね。でも私は同業以外で見つけたいなぁ」
「そうなの? どうして?」
「CAの仕事が好きだから。社内恋愛でゴタゴタして仕事行きたくないなぁとか思うの嫌なのよ」

 CAの仕事に誇りを持っている彼女らしい答えだった。
 夕菜はふとなにか思いついた表情になる。

「美紅はあの彼は? ほら男性第一号CAのさ」
「あぁ、尊のこと?」
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