離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「考えすぎだ。うちのCA採用試験の応募者数がどれだけいると思ってる? いちいち親族までチェックするはずないだろ。――そんなことより!」

 慶一郎おじさんはグッと身を乗り出して私の顔を見据える。

「おかしな虫がついていないだろうな? ひとり暮らしなんかせずにこれまでどおりうちから通えばよかったのに」
「もう! いつまでも子ども扱いしないでよ」
「けどな、パイロットは社交的で話上手だろ? だから恋人をコロコロ変えるようなやつも多いんだ。いいか? 誘われてもきちんと相手を見極めて――」
「誘われないから、全然!」

 モテモテで選べる立場のパイロットが自分のような地味で落ちこぼれのCAに声をかけるはずがない。そう説明すると慶一郎おじさんはひどく驚いた顔をする。

「なにを言ってるんだ? 美紅はものすごくかわいいだろう。うちのCAは美女ぞろいだけど、そのなかでもとびきりだ! 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は……ってまさに美紅のことで」
「そう思ってるの、世界中で慶一郎おじさんだけだから安心して」

 興奮気味の彼を私はばっさり切り捨てる。
 慶一郎おじさんの叔父馬鹿はレベルが違う。彼のフィルターを通すと私はスーパーモデル顔負けの美女になってしまうらしい。

「それに、社交的で恋人をコロコロ変えるパイロットって昔の自分のことなんじゃ」

 私は探るような目を彼に向ける。
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