離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
三章
三章

 それから二週間。ここしばらく桔平さんとはすれ違いの生活が続いていた。

(寂しいけど今はかえってよかったかも。自分の気持ちがまだ整理できていないから)

 もし桔平さんが離婚をやめる決意をした理由が私への同情だったとしても、それでもいいのかもしれない。むしろチャンスとも考えられる。彼に本気で愛してもらえるよう努力をすればいい。

(でも桔平さんを惚れさせるって私にはハードルが高すぎる気も……それに彼の同情を利用するのは卑怯かなぁ)

 グズグズと思い悩んでしまって決意が固まらない。それに、もうひとつ気になることがあるのだ。

(桔平さんは私が彼を好きなことを知らない。それどころかあまり好かれていないと思っているみたいな感じ……)

 たしかに好きだと告白はしていないけれど、デートやキスをよろこんでいることは伝わっているだろうしどうしてなのだろう?

(桔平さん、明日はオフと言ってたよね。よし、今夜時間が取れたら話をしてみよう)

 ひとりで思い悩んでもなにも進展しないことはこの二週間でよくわかった。桔平さんを好きだという気持ちをきちんと伝えたうえで彼がどういう思いで離婚を踏みとどまったのかを聞いてみようと決意した。
 彼のなかに同情以外の気持ちが一パーセントでもあるのなら……未来を期待してもいいのかもしれない。
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