「お嬢さんを俺にください!」

「優里愛、なんか顔色悪くない?
何かさた?大丈夫?」



何かって?



あの雪の日
私を助けてくれた優しい人は
とても温かかったよ


その人と一緒にいると
とても安心していつも穏やかでいれた



ユーヤ



ユーヤは私のこと
レーニャって呼ぶの

私がそう言ったからだけど



自分の名前も思い出せなくて
浮かんできた名前は『レーニャ』


帰ってからわかったことだけど
私が可愛がってた猫の名前だった



ユーヤとの1ヶ月は楽しい1ヶ月だった


一緒に笑って

一緒にカップラーメンを食べて

一緒に寝て一緒に起きて



ユーヤが学校に行ってる間は
ひとりだけど

アパートの大家さんと仲良くなった



大家さんはおばあちゃんで
私にいろんなことを教えてくれた



旦那さんとの若い頃の話もよくしてた

自分で結婚相手を決めちゃいけない時代で
親同士が決めた縁談だったけど
大家さんはすごく幸せだったんだって

旦那さんは2年前に他界したけど
いつも空から見てるんだって



料理の話
編み物の話
隣の犬の話
お孫さんの話
男の人にモテる秘訣



話が絶えなくて1日があっという間に過ぎた



みんないい人達だった



私の嫌なことなんて
する人じゃないよ



「何もされてないよ」



もっと話したかったな

ユーヤと



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