偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
胸の内で大混乱を巻き起こしつつも、恋は親友である秀の想いに何とか応えようと必死だった。
親友である秀への想いが打ち勝ったのだ。
恋は強制的に思考回路をシャットダウンする。
「……う、ううん。私もカレンじゃなくて。す、秀のこと特別だって思ってる」
「そうか、安心した。じゃあ、挨拶は今週末ってことで話は進めておく。いいな?」
「う、うん……」
とはいえ、秀の両親に親友としてではなく、結婚相手として挨拶しなければならないのだ。
ーーそんなの不安しかないに決まってる。私、大丈夫なのかな。
今度は違った意味での緊張感に苛まれることに。
だが秀はいち早くそれを察知して、恋の不安を何とかして取り除こうと、カレンと同じ優しい表情を浮かべて、言葉を尽くしてくれていた。
「そんなに不安がらなくてもいい。うちは母親を早くに亡くしていて、父は再婚して腹違いの妹もいる。だから盆と正月ぐらいしか実家には顔を出さないし、挨拶って言っても形だけだしな」
その中で、秀が自身と同じように、早くに母親を亡くしていることを知って。
秀のことを何一つ知らないと言うことを改めて知らしめられてしまい、やるせない気持ちが胸の中で増幅するのを感じてもいた。