略奪女子ネット村
最初の10日間/登校中の出来事





満員バスは常盤南高校の最寄バス停前に着くと、生徒たちを出口ドアから勢いよく吐き出した


さすがにマユリは降り損なう訳にもいかず、タイミングを調整する余裕はなく、人の流れに任せるほかはなかった


そして、彼女が押し出されるようにバスから降りると、すぐ前方にはヒサシと南原ねねの姿があった


二人は並んで学校に向かっている


その5、6M後ろの位置で歩いていたマユリは、盛んに携帯で時間をチェックしていた


”こんなにちんたら歩いていたら遅刻しちゃうって!”


どうやらマユリの前方を歩く、ヒサシとねねを含む10人前後の塊は、遅刻ギリギリに一斉に校門に飛び込む”常習犯”グループだったようだ


”このまま一緒に学校に入ったらどっちみち、彼とは接触するよな…”


迷った末、彼女は歩道を占拠するギリギリ組を追い越すことにした






マユリは一旦車道に出て、一気に走って”ヒサシ達”を追いぬいたところで歩道に戻ると、若干スピードを落とした


すると、マユリの後方から男子生徒の声が聞こえた


「おーい、久保田、あんまり急ぐとスカートずれ落ちちゃうぞ!」


”あの声、赤宮だ。クソッ!あんなデカい声で…”


売店前と同様、赤宮シゲトの掛け声で、一団の男女生徒は皆笑い声をあげていた


その声の中にヒサシが含まれていないことを信じながら、マユリはあと200M程の校門までひたすら走り続けた





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