お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「だいじょうぶ…、へいき、怖くないよ、こわくない」
そんな頼りない声は、それで何を慰めて安心させてやることができるんだろう。
「ゆら、もしかして地震怖いの?」
「へ、平気だよ…、いつもこうやって乗りきってたから…」
俺たちは似ている。
だけどいくつか違うところがあって、片親という面では同じだから気持ちは分かり合えるとしても。
詳しく踏み込んでみると、母親と父親、どちらが欠けているかによって生活面はガラリと変わるし、それによって求める安心や愛情の種類も違ってくる。
たとえば母さんが死んでから父子家庭になった俺は、父親がいるからこその一家の大黒柱的な安心感は確かにあった。
だとしても料理や洗濯、いわゆる家事というものだ。
そこに対する安心や温かさは足りなくて、だから俺はお菓子づくりが得意だったかつての誰かに惹かれた部分もあった。
「終わったよ、私…、もう揺れてないから大丈夫だよ、」
父親はダメダメ人間のダメ男。
物心つく前からいなくて、顔すら知らないと言っていた。
おばさんは料理が上手いし、炊事洗濯も軽々とこなしてしまう女性だ。