溺愛執事と極上生活
「あ、それは…ちょっとした、裏技を……」

「裏技?ですか?」
目をパチパチさせ、毅登を見上げる。

「………」
「………」

「………」
「……名高さん?」

「執事の仲間に、協力してもらって忍び込みました……」

「そう…だったんですか?
でも…例え、入ってこれても……」
「そうですね……」

星鈴川学園の沢山の校則の中には、

・契約前に主人には会えない。
・家紋をつけた執事に、主人以外の人間が気安く話すこと、執事も主人以外の学生に気安く話しかけることができない。

━━━━━━と言うのもある。


「…………でも…嬉しかったので…/////」

「え?」

「先週、美間さんが僕のとこに来られて、風葉様の専属執事をお願いしたいと言われました。
本当はその日に、会いに行きたかった。
でも……準備などで、なかなか行けなくて……」

「え……」

「風葉様がずっと“国崎 風葉”として生きてきたことや、旦那様との関係、お母様とのこと……色んなことをお聞きしました。
なので、きちんと風葉様のことを理解してからしかお会いできないと思ったので……」

「………」

「でも、どうしても会いたくて……
クラスメートの方に聞いたら、風葉様はいつもあの木陰にいると言われて。
でもまさか、あんな無防備にうたた寝されてるなんて、思ってもみなかったです(笑)」

「あ…////お、お恥ずかしい…/////
あの木陰、お気に入りなんです…!」

「フフ…可愛らしいですね……!」

「かわ…/////」

「でももう、ダメですよ?」
「え?」

「あんな無防備…危険です!
まぁ……これからは僕がずっとついてるので、そんなことさせませんが…!」
「……////」

風葉の手から、ジャケットを受け取る毅登。

「ありがとうございました」
風葉がお礼を言うと、毅登は微笑み「いいえ!」頭を下げた。



「僕は、幸せです!
風葉様のお役に立てて」

そして毅登は、もう一度丁寧に頭を下げ、部屋を後にした。

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