溺愛執事と極上生活
「風葉様、おはようございます!」
「「お嬢様、おはようございます!」」

毅登、笹田、中道が、ドア前に向かい挨拶する。

「名高さん、笹田さん、中道さん。
おはようございます!
すみません、お忙しい時に」

「いえ!どうされましたか?」

「あ、はい。
昨日、伝えるのを忘れてたんですが、今日学校が始まる前に毬音(まりね)さんと会う約束してて。
なので、今日は7時にはここを出たいんです!
急で、ごめんなさい!
なので、中道さん。
今日は朝食とお弁当も、いりません。
朝食は、学園で食べます。
お弁当は、急なので今から作ってもらうの申し訳ないので……
笹田さん、今日は自分で準備しました!
名高さんも、もうすぐ出たいのでよろしくお願いします!」

頭を下げ、言った風葉。

毅登達は、フリーズする。

こんな主人は、知らない。
使用人にこんな気を遣う主人がいるのだろうか。

もしかしたらいるのかもしれないが、少なくとも、毅登達の世界にはいない。

フリーズしている毅登達をよそに、美間が風葉の足元に跪き声をかける。
「風葉様。お顔を上げてください。
最初に言いましたよね?
我々に、気を遣う必要はありませんと。
お食事の件、ご準備もお気遣いありがとうございます!
すぐに、名高にも準備をさせます。
なので、お部屋でお待ちいただけますか?」

風葉の手を取り、微笑んだ。

「あ、はい!
よろしくお願いします!」
もう一度、丁寧に頭を下げた風葉。
パタパタと、部屋に戻っていった。

それを見届けた美間が、毅登達に向き直った。

「これが、さっきの言葉の答えだ」

「え?」

「風葉様は、元は一般階級の方。
我々の常識は、通用しない。
だから、我々が風葉様の常識にできる限り合わせて差し上げなければならない。
名高。
他のみんなも、絶対に風葉様の前で動揺するな。
動揺は、あの方を不安にさせる。
ただでさえ、お母様を亡くして不安な日々を過ごしている風葉様に、これ以上の不安を与えるな」

美間の言葉に、毅登達は大きく頷き気を引き締めたのだった。
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