溺愛執事と極上生活
「━━━━はい、風葉様。
最後の一口ですよ?
あーん…!」

「あーんん…」
「フフ…可愛い…風葉様」

口に含んで、口元に手を当て顔を赤くして咀嚼する。
そんな姿を見て、毅登が心底嬉しそうに微笑む。

甘い時間が流れていた。


食後に紅茶を飲んでいると、風葉のスマホが震えた。
「ん?
━━━━━あ!」

画面には“武神 亜嵐”の文字。
風葉は、思わず躊躇する。

毅登の膝の上で、毅登以外の男の連絡を受ける。
あり得ない。

「風葉様?」
「………」

躊躇していると、着信が切れた。
風葉は、亜嵐にメッセージを送る。

『亜嵐さん、こんにちは!
今、取り込み中ですので、後から連絡しますね!』
するとすぐに“既読”になり、返事が来た。

『わかった!
声が聞きたかったが、それは今日会えた時で!
じゃあ、終わり次第そっちに行く。
名高にも言っておいて』
『はい。わかりました』

返事を送り、風葉はタメ息をついた。

亜嵐はきっと、好意をもってくれているのだろう。
「ちゃんと、伝えなきゃ……」

「風葉様」
「……っあ!あ、すみません!
亜嵐さんからです。
今日終わり次第、こっちに来るそうです」

「かしこまりました。
……………それで、伝えなきゃとは?」

「え?あ/////わた、わた、私の気持ちを…」
「僕を愛してくれてるということをですか?」

「は、はい/////
私の自意識過剰かもですが、亜嵐さんは私に好意をもってくれているのかなと思って…
だったら、ちゃんと私の気持ちを伝えなきゃと思ったので……」

「さようですか。
そうですね。その方がいいですね!」


そして、一日の授業が終わり━━━━━━

「さようなら!」
「さようなら」

生徒達が、各執事と下校していく。
「風葉さん、さようなら!」
「はい、さようなら、毬音さん!」

教室を出ると、毅登が立って待っていた。
「風葉様。お疲れ様でございました」
丁寧に頭を下げ、微笑んだ。
「はい」

「風葉様、抱き締めていいですか?」
両手を広げ言う毅登に、小さく頷いて微笑む。

ゆっくり近づいて、包み込むように抱き締めた。
「はぁ…幸せです……
キス、させてください」
今度は風葉の頬を包み込んで言う。

「はい…」
返事をすると、毅登の綺麗な顔が近づいて口唇が重なった。

━━━━━━!!!!?
思わず、押し返す風葉。

まさか、口唇にキスするとは思っていなかったのだ。
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