こじれた俺の愛し方

俺の中の怒りと束縛

 数日経ったある日、夜にナツが男と歩いていた。
 俺の知らない男だ。

 なぜその男と仲良さそうに笑っている…?
 俺に飽きたのか…?

 はらわたが煮えくり返るほどの怒りがこみ上げてきた。

 ナツは俺を捨てるだろう。
 マイナス思考で笑わない、変に避ける、素っ気ない…そんな俺より、そいつと一緒になって。

 好きだって、言ったくせに…!

 不甲斐ない自分の自業自得と分かっていても怒りが収まらない。

「あ、テイキさん…!」

 ナツが俺に気付き、笑顔でそばにやって来る。

「…。」

「こんなところで会えるなんて嬉しいです…!お仕事帰りですか?」

 ナツがどんなに笑顔でも、俺の怒りは収まらないまま。
 ナツは怒りの俺には気付かないらしい。
 俺からすれば、ナツの隣にいる男ばかりが気になる。

「…誰だ…?そいつ…」

 とうとう苛つきながら俺がそうナツに尋ねると、ナツは気付いたのか顔色を変えた。

「あの…学校で同じ課題グループの…
「何?この人、青沢さんの彼氏?うわ、怖っ!」

 ナツが弁解しようとするすぐ横で、その男はニヤニヤとしながらそう言った。

「な…んだと…?」

 俺は怒りのまま男を凄み睨みつけるとナツは必死な表情で、

「やめて!!」

と叫んだ。

「ハイジマさんには関係ありません!!テイキさんに、酷いこと言わないで!」

 ナツは俺に向き直る。

「グループ課題が遅くなってしまって、途中まで送ってくれたんです…。テイキさんに心配掛けてしまってごめんなさい…!」

 必死なナツ。
 しかしそれに追い打ちを掛けるように、

「そんなに取られるって心配するなら、あんたがいつも送っていれば良かったんじゃないの?…青沢さん、悪いこと言わないからそんな奴やめておきなよ。じゃ」

その男はそう軽く言い、行ってしまった。
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