こじれた俺の愛し方
 ナツはうろたえ始めたその男の言葉にも、きっぱりとこう言い切った。

「私の大好きなテイキさんに酷いことを言う人は、嫌いです…!!たとえ、本当に私の叔父に当たる人でもですっ!もう、帰って下さい…!!」

 男はナツを見くびっていたのだろう。
 困惑の表情のまま首を横に振り、立ち去って行く。

 ナツはその姿を見送ると、力が抜けたように膝から崩れていった。

「!!」

 俺はナツを抱き起こした。

「…怖かった…でも、テイキさんのおかげで、私…」

 俺の、おかげ…

「…でも、良いのか…?本当に叔父だったかもしれないのに…」

 ナツは疲れた様子だったが、俺をまた真っ直ぐに見た。

「私、テイキさんがいてくれたらいいです…!」

 なんて嬉しいんだろう。
 俺にそんなことを言ってくれた人間は今までいなかった。

「…俺がこれからもナツのそばにいていいなら、何かあったら助けたい…」

 これは今の俺の本心だと断言できる。

「…いいか…?」

 俺の問いかけにナツは頷いた。
 まだ震える足で必死に立ち、俺に抱きとめられ、涙を流しながら。

「ありがとう、テイキさん…!!」

 これからは束縛ではなく、一緒に生きていくことを俺は願って生きていける。
 ナツとなら。
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