冷徹官僚は高まる激愛を抑えきれない~独占欲で迫られ懐妊いたしました~
なにも返せずに、私はプリンを見下ろす。このプリン、いつもそんなふうに買ってくれていたの。
私のために。
「ねえ、泣かないで由卯姉。オレはね、由卯姉の感情が拗れちゃった原因は芳賀さんだと思う。だから甘えてたらいい」
しゃくりあげながら聞く。
「甘えて?」
そう、と文人は苦笑した。
「これから一生、尽くされてもいいんだと思うよ」
「それは……」
横に首を振る。
「それは、違うと思う」
夫婦って、きっとそんな一方的な関係じゃない。けれど文人は笑う。
「多分、芳賀さんはそれでも幸せだよ」
「まさか」
「そうなんだよ。それくらい……あの人は由卯姉しか見えてない」
「……でも私は、そんなのは嫌」
「なら素直になりなよ、由卯姉」
文人はそう言って笑って帰っていった。私はプリンを食べながら、直利さんからの愛情について考える。
帰宅した直利さんに抱きつくと、直利さんはこの世の幸せを煮詰めたような甘い顔をして私を抱きしめる。
「まだ起きていたのか。それにしても、どうしたんだ? 君から来てくれるだなんて」
「……寒かったかなあと思って」
「そうなんだ、寒かった」
玄関先で私の頭に頬擦りをしながら彼は言う。
「頭ではわかってるんだ。俺は手を洗って、スーツを着替えて夕食をとらないといけない」
でも、と私を抱きしめ直しながら彼は言う。
「せっかく由卯奈から来てくれたのに、手放したくない」
その声が、やけに切実で。
私は微笑みを彼に向けながら口を開く。
「……何回でもしてあげますから、ご飯食べましょう」
「本当だな?」
「ほんとですよ」
私がそう言うと、ようやく彼は私から離れた。心臓がとくとくしている。額に落ちてきたキスに、彼の真心が詰まっているような、そんな気がしてとても苦しい。
愛されるって、こんなに苦しいんだ。
胸がぎゅっとして息ができない。
直利さんが「なにも言わずついてきてくれ」と私を車に乗せたのは、クリスマスイヴ、底冷えする土曜日のことだった。