crass
声の方に目を移すと
営業の上司、蒼輔さんだった。

蒼輔さんの言う優しい人とは
先程私にジュースをくれた男性で
それを言われてからふと
あぁあの人は優しいのか、と
ぼんやり思っていた。

「アイツくらいだろ。
亜輝を気遣っているの。」

「…確かに、蒼輔さんよりは
優しい人なのかもですね。」

なんとなく見つめあって
なんとなくドキドキした。
仕事もしなきゃいけないのに。

「今、帰るなら送るよ。」
と自然に蒼輔さんが言った。

「ひとりで、帰れますよ。」と
疲れた顔で笑顔を作った。

その後、パソコンを閉じたまま
ジャケットを着て、鞄にいろいろ
携帯とかハンカチとかネームプレートとか
カルピスウォーターも詰め込んで
帰る支度をした。
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