crass
私はすっと鞄を持って
オフィスの扉に手をかけた。

私の、好き、なんてこんなもの。

こんなに簡単に崩れる。
そう思って、
思わず蒼輔さんを見つめた。

「仕事だけど。」

蒼輔さんの表情が少し
分かりづらくて…
手をかけた扉を静かに開けて
私はオフィスを出た。

エレベーターも廊下も何もかも
無機質でそれが今は
心地よかった。

薄暗いビルを抜けて、
外の空気を思いっきり吸った。

おいしい。

先程貰ったカルピスウォーターを
開けてほぼ一気に飲み干して
深呼吸をするようにゆっくりと
真っ暗な空とぼんやりの月を
見上げた。
< 4 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop