二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
 明らかにお高いと分かる、オフホワイトの布張りのソファーに囲まれたダークブラウンの木目のローテーブルの上には、プチデザートビュッフェのような光景が広がっていた。
 一口サイズに切り揃えられた色とりどりのケーキにマカロン、チョコレート、水々しいフルーツ。
 それだけでも緊張で乾ききっていた香澄の口の中があっという間に潤いに満ちた。けれど、さらに香澄を驚かせたのは……。

「チョコレートドーム……?」

 事故により食べ損ねてしまったもの。
 実は、今日の潜入捜査で1番楽しみにしていたもの。
 それがビュッフェの中心に置かれていた。
 
「いかがでしょう?」
「は、はい!?」

 慌てて振り返ると、香澄をこの部屋に連れてきた男性がニコニコと笑いかけてきた。

「気に入っていただけましたか?」
「あ、あの……これは……」
「ご迷惑をおかけしたお詫びです」
「こ、これもですか!?」
「当然です」

(当然って……)

 香澄は、すでにレストランの代金、計2万円程も全額支払ってもらい、ランドリーに服を預けてもらい、かつスイートルームのお風呂まで使わせてもらった身だ。
 すでにお詫びとしては、十分すぎるほど貰っている。

「あっ……あの……ありがとうございます……」
「気に入っていただけたようでしたら、何よりです。さ、おかけください」

 男性は、香澄の手を取ると慣れた手捌きで香澄をソファに座らせ、自分も座ってきた。
 香水だろうか……男性の首元から漂う心地よい香りに、香澄の胸が高鳴った。
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