二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「私も、香澄ちゃんのシナリオをチェックしてる立場だからこそ言わせてもらうけど……確かに二番煎じ感が強い」
「に、二番煎じ……」
「特に、男キャラがヒロインを口説くセリフがねぇ……使い回し感がねぇ……すごいあるの」
「え?でもそういうのを、プレイヤーは求めていると思うんですけど」

 色々な恋愛コンテンツを、香澄なりに研究して分かったことがあった。
例えば、イケメンキャラクターは俺様とかインテリといったカテゴリ分けがされており、そのカテゴリによって求められるセリフやシチュエーションが違うのだ。
 これは言い換えると、カテゴリとセリフが一致すれば、大体同じようなセリフでもプレイヤーは十分喜ぶということだ。
 それに気付いたからこそ、香澄はプレイヤーが喜ぶであろうセリフを抽出し、組み合わせたシナリオをこれまでも作り続けていたのだ。その作り方であれば、自分がそのセリフで萌えるかどうかのジャッジメントは必要がないため、結果恋愛経験がなくてもそれっぽい恋愛セリフが作れる……というカラクリだ。

「確かに、人の心を掴むためのセリフのテクニックは存在するわ。実際教本もたくさんあるし。でもね……香澄ちゃん。それはあくまでテクニック。生々しくないの」
「な、生々しい?別に私たち、エロい話を書いてるわけじゃなくないですか」

 香澄の発言に、また八島はため息を重ねた。
 それから無言の時間が数秒続いてから、八島はとんでもない爆弾指令を香澄に投げつけてきた。

「香澄ちゃん……あなた……処女捨てなさい」
「は、はい!?」
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