二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
(な、何で……?)

 香澄の脳内は、今たくさんの画像や動画データ処理をしなければいけないけれども、スペック不足で処理速度が急速に低下したパソコンのように、フリーズ直前になっていた。

(この人……私のこと、気づいて……)

 香澄はコーヒーカップのアトラクションに乗っているかのように目が回っていた。
 そんな香澄の心情を知ってか知らずか、芹沢涼はクスッと微笑しながら、香澄の右横に座り、自身の手は香澄の肩に回していた。
 そのまま引き寄せれば、確実に芹沢涼の胸に引き寄せられるという、絶妙な体制になってしまい、クリスマスイブのスイートルームでのひと時を香澄に思い起こさせる。

(これは、どういう状況……?)

「混乱してる?」
「っ!?」
「香澄はね、とっても正直なんだ。顔に考えていることがすぐに出てしまうんだ。例えば……」
「っ!?」

 芹沢涼は、香澄の頬を掴み、香澄の乱れた髪をかきあげ、首筋に息を吹きかける。

「んんっ……!?」
「こうされると、体が疼いて仕方がない、とかね」

 そのまま芹沢涼の唇が、香澄の首筋に当てられる。
 かと思えば、ピリッと虫刺されのような痛みが走る。

「んっ……」
「あの日も、たくさんつけてあげたのに、もうすっかり消えてしまっているね」
「やめ……て……」

 芹沢涼が、香澄の耳に息を吹きかけては

「こうやって、僕のものだって印もたくさん残したはずなのにね」

 首筋に手をかけながら、また1つと吸ってくる。
 その度に、香澄の身体は疼いてくる。
 あの夜を思い出して。

「やめて……ください……」

 あまりの恥ずかしさに香澄は耐えきれなくなり、ドンッとできる限りの力を込めて、香澄は芹沢涼を突き飛ばした。
 芹沢涼の唇こそ離れはしたが、手はしっかりと香澄の肩に置かれたままだった。
 それから、芹沢涼の唇からまた微笑の吐息が漏れる。

「まさか、この僕が逃げられるとは思わなかったよ」
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