余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
笑っちゃいけないの,分かってる。

だけどどうしても押さえられないおかしさとくすぐったいような嬉しさ。



「ありがとう」



笑いながらもなんとか絞り出せば,彼はふいっと顔をそらした。

ごめんね,佐藤くん。

スマートなのか,不器用なのか。

よく分からない彼は,案外少し抜けていて子供っぽいのだと知った。

カンカンと下駄箱近くが鳴るのが聞こえる。

どうしようかと悩んでいると,佐藤くんが私のとなりに腰かけた。

私もずっと上がっていたお尻をようやく地面につける。

あったかい。

手の中の私的に謎な飲み物は,やっぱりあったかいままだった。

お尻,汚れるかな。

アスファルトだし,なんとかなるか。

ぼー…と青い空を眺めたいたら,目の前を佐藤くんの同期が通りすぎていく。



「お? さーとぉってば何やってんの?」

「んー? 先輩と日向ぼっこ」

「へー。がんばれー」



これといって興味の無さそうな反応をするあの人は,確かに佐藤くんに合いそうっていうか……

よく見かける彼と同じ匂いがするなと思った。



「頑張るって,なに?」
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