やっぱり…キスだけでは終われない
リビングに行くとコーヒーのいい香りがしていた。
「柾樹にコーヒーを淹れてもらえるなんて、幸せです」
「うん。同じ家にカナがいて、夜も朝も一緒にいられるなんて、俺はもっと幸せだ…。あ、後で家の中を案内するよ」
真剣な瞳で見つめながら発せられる甘い言葉に私だけが照れてしまう。
「あ、はい…」
「カナはクッキーが好きって言っていたから、うちのホテルで出してる焼き菓子も用意しておいたんだ。持ってこよう」
「それなら、私が取ってきます」
立ち上がろうとすると、私の肩に大きな手をポンと軽く置いて止められる。
「いや、いいよ。座ってて。俺がカナを甘やかしたいだけだから」
キッチンに向かうその後ろ姿まで格好良くて、私は同棲初日からドキドキが止まらない。本当にこんな感じで普通に生活ができるのかと心配になるほどだった。