やっぱり…キスだけでは終われない

昨夜も私の気持ちを確認する前から指輪を用意していた訳だし、いったいどこまで用意周到なのか不思議に思っていた。

つい、食事中にもかかわらず手を止めて、まじまじと柾樹を見つめてしまう。

「どうした?口に合わない?他に食べたいものがあったか?」

食事の進んでいない私を心配そうに見て、様子を窺ってきた。

「いえ…。美味しいです」

「じゃあ、たくさん食べて」

笑顔で先を促され、朝食を食べ終える。ゆっくりコーヒーを味わおうと、窓側にあるソファに座り部屋から外を見ていたら、遠くに飛行機が見えた。

「コーヒーを飲み終えたらカナの両親に結婚の挨拶に行こう」

「………」

言われたことに反応できなかった。

私の両親はある映画の風景に心を惹かれてしまった父が、あの景色を自分で描きたいと言い出し海外生活をしている。柾樹のこのちょっとそこまで…と、気軽に出向くような感覚で話されていることが理解できずにいると、すでに調べはついていると話を続けてくる。
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