そのままの君が好きだよ
「……サムエレ様はそうやってずっと、わたくしを守って下さっていたのですね」


 言いながら、サムエレ様の手を握る。
 彼は小さく目を見開き、それから恥ずかしそうに顔を背けた。何だかとても嬉しくなって、わたくしはそっと身を乗り出した。


「サムエレ様……本当に、ありがとうございます。
わたくしの方こそごめんなさい。今までずっと、気づかなくて」

「いや……ディアーナに謝ってもらうようなことじゃない。全部俺が勝手にやっていたことだ。
というか、その――――半分以上、自分のためにしていたことだから」


 サムエレ様はそう言って、小さく唇を尖らせる。彼にしては珍しい、どこか子どもっぽい仕草だ。


(ご自分のため……ってどういうこと?)


 そのまま黙って見つめていると、サムエレ様は観念したように、深々とため息を吐いた。


「ディアーナ、俺はね……怖かったんだ」

「…………怖い?」

「ああ。兄上と会えばディアーナは……もう一度兄上と婚約したいと、そう言うんじゃないかと思って」

「……へ?」


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