色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ
引っ越しと絶望
実を言えば、蘭様に引っ越せと言われても実感が湧かなかっただけだ。
最低限の荷物を持って、とりあえずは引っ越し先の家を見てみようということで。
蘭様の部下の一人が馬車で案内してくれたのだが。
カスミさんの屋敷を通り過ぎ、畑を通り過ぎたくらいから不安になった。
民家なんてない、人の気配もない。
獣道を歩いた先にあった家を見た時には、「廃墟…」と絶句した。
屋根は崩れ落ち、窓ガラスは割れて家の周りは草がぼーぼーに生い茂り。
かつては人が住んでいたことがわかるが今はもう廃墟にしか見えなかった。
家自体は今まで住んでいたところよりも広い平屋になっているが。
中に入るのもためらう様なボロさだ。
「マヒル様、マスクをしてください」
そう言って、バニラは布で鼻と口を覆うと、ドアに蹴りを一発入れてドカドカ中へ入っていった。
私はもう、入る気力もなくて。その場で固まってしまった。
暫くして、バニラが無言で帰ってくると。
泣きそうな顔をした。
「このような仕打ち、許しませんわ」
最低限の荷物を持って、とりあえずは引っ越し先の家を見てみようということで。
蘭様の部下の一人が馬車で案内してくれたのだが。
カスミさんの屋敷を通り過ぎ、畑を通り過ぎたくらいから不安になった。
民家なんてない、人の気配もない。
獣道を歩いた先にあった家を見た時には、「廃墟…」と絶句した。
屋根は崩れ落ち、窓ガラスは割れて家の周りは草がぼーぼーに生い茂り。
かつては人が住んでいたことがわかるが今はもう廃墟にしか見えなかった。
家自体は今まで住んでいたところよりも広い平屋になっているが。
中に入るのもためらう様なボロさだ。
「マヒル様、マスクをしてください」
そう言って、バニラは布で鼻と口を覆うと、ドアに蹴りを一発入れてドカドカ中へ入っていった。
私はもう、入る気力もなくて。その場で固まってしまった。
暫くして、バニラが無言で帰ってくると。
泣きそうな顔をした。
「このような仕打ち、許しませんわ」