君に、ブルースターの花束を
コーヒーを淹れてくれた時、ケーキを焼いてくれた時、マフラーをくれた時、押し花をくれた時、本当は愛が降り積もっていたのだ。だが、今になってその愛を知ってしまった。

「何故、気付くのがこんなにも遅かったんだ……」

感謝の言葉一つあげられなかった。ソフィアはジークフリードの好きなものを知ろうとしていたのに、ジークフリードはソフィアが何を好きなのか知ろうともしなかった。彼女からたくさんのものを貰ったというのに、自分は何も贈ることができていない。

「すまない……すまなかった、ソフィア……」

もう届かない言葉を言いながら、ジークフリードは肩を震わせていた。



それから数年後、ジークフリードの姿は街にある花屋にあった。いつも買う花は決まっている。

「ジークフリードさん、いつものです」

花屋の店主からすっかり顔を覚えられており、ジークフリードは水色の花束を受け取った。その花はーーーブルースターだ。

「ありがとう」
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