*夜桜の約束?* ―再春―
「お前って、ショーの時、相当『寄せて・上げて・盛って』るんだと思ってた」

「ひ、ひどい~!」

「だって練習着も普段着も、ちっとも胸ないじゃんかよ」

 ──それは目立たせるのが恥ずかしくて、身体の線が分かりにくい上着とスポーツブラを着けているからです……。

 モモは心の中でそう言い訳して、再び笑い出した震える丸い背中を見下ろす。

「まぁ良かった良かった~思ってた以上にあって! 折角だからちゃんと拝ませろ」

「えっ! あっ、やだっ!! 先輩~~!!」

 左の身頃を(つか)んだ長い指を、引っぺがそうと両手で応戦するモモ。

 凪徒はそんなモモを見上げ、

「じゃあ布団くらい掛けてやるから。それからこういう時くらい、『先輩』じゃなくて『凪徒』って呼べよ」

 と、女性ファンを魅了してきた(うるわ)しいウインクを投げた。


< 27 / 38 >

この作品をシェア

pagetop