小悪魔と仮面舞踏会

『松山は…』

俺のことどう思ってる?

言いそうになった

だけど

答えを聞くのが怖くて

結局は言えなかった

「宮沢?」

途中で言葉を発するのを止めた俺を不思議そうに見る…。

『やっぱいい。なんでもねぇよ。』

無理に笑ってそう言った。

でも、松山は鋭くて

「なんでもよくなんてないでしょ?」

俺の心を見抜くように言葉を発する。

「言いたいことあんでしょ?逆にない方が不思議なくらいよ。私の秘密知ってんだから。」

『あぁ…ごめん』

「なんで謝るの?」

『なんとなく…』

「ふ~ん」

興味なさげに髪をいじりながら独り言のように呟く松山…。

分かんないけど。

口が勝手に動いてた…。

“ごめん”

三文字の言葉を声に出してた

だけどうっすらと分かっていた。

なんで謝ったのか。

それは松山に悪いと思ったからだ。

松山の過去を知る人だからと許可もなく

松山の知られたくない秘密を聞いて…。

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