恋愛観測



 日雀彗人。数学が得意で星が嫌いな天文部員。

「この三日間で、あたしはここまで君のことを知ることができたよ」
「そっか。じゃあ俺も」

 大伊香子。高校二年になって編入してきた転校生。さばさばした性格で誰からも好かれている、それでいて星が好きな淋しがりの女の子。

「こんな感じじゃない?」
「当たってる……けど。どうしてあたしが淋しがりなの?」

 今日の天体観測は中止だ。
 窓の向こうで降り始めた雨。音を立てて降り出す雨を背に、机の上に座って、二人は互いのこと、星のことを語りつづける。

「ムリしてるように見えるから。まだ、空気に溶け込んでいるようには見えないから」
「空気?」
「そ。空気。人間関係には溶け込んでいるみたいだけど、都会の空気に馴染めてない、そんな雰囲気がある。だから一人、取り残されてるように見えちゃって……こんなこと言うと失礼かもしれないけど」

 香子はぶんぶんと首を横に振る。そんなことない、だってそれが事実だから。
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