桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「えっと、初めまして。美桜です。どうぞよろしくお願いします」
 「あ、私は絵梨です。よろしくお願いします」

 ぺこりと頭を下げる二人にメアリーももう一度頭を下げる。

 「さあ、ではお部屋にご案内しますね。どうぞこちらへ」

 そう言って歩き始めたメアリーに、二人も続く。

 深紅のバラのような鮮やかな色の絨毯はふかふかで、まるで長旅で疲れた足を労わってくれているようだ。

 正面の空間は丸く広がり、その左右にゆるいカーブを描いた階段がある。

 「足元お気をつけて」
 
 振り返ってそう言ってから、メアリーは左側の階段を上り始めた。

 ゴールドに輝く手すりにつかまりながら、美桜と絵梨はなんだか優雅な足取りになり、お互い顔を見合わせてふふっと照れ笑いした。

 絵画が飾られた長い廊下を進み、ようやく案内された部屋は、これまた二人の想像をはるかに超えた素晴らしさだった。
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