桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 キングサイズのベッドが二つ、その横にはダイニングテーブル、そして入口の横にはソファと可愛らしい丸テーブルもある。

 「うわー、広い!ゴージャス!なんて素敵なの」
 「ほ、ほんとにこのお部屋を使っていいの?」

 単純に喜んで、早速大きなベッドに飛び込む絵梨を横目に、美桜は半信半疑でメアリーを振り返る。

 「もちろんですわ。こちらのドアを開けると、クローゼットとドレッサーがあります。さらにその奥がバスルームです」

 次々とドアを開けながら説明するメアリーの後ろで、美桜はもう溜息しか出てこなかった。

 有名なホテルのスイートルームでも、ここまでのものはなかなかないだろうと思う。

 (いや、行ったことないから分からないけど)

 ちょっと自虐的に笑ってから、またすぐ真顔になってあちこち眺めた。

 豪華さだけでなく、部屋の内装や家具もとてもセンスが良い。

 「このソファ、とっても可愛い。壁紙の模様も綺麗だし。お部屋の中すべてが素敵で、お姫様が住んでそうね」

 美桜がそう言うと、まあ、とテーブルに紅茶を用意しながらメアリーが笑う。

 「気に入っていただけて良かったです。この内線電話でいつでも私に繋がります。何でも仰って下さいね」
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