桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 右側は普通の壁だが、左側は柔らかいカーテンで仕切られていて、二人が通り過ぎるとふわりと揺れる。

 アロマの心地よい香りが漂う中、やがて二人は広いスペースに出た。

 ドウゾ、と美桜をオフホワイトの丸い絨毯の上に案内すると、リサはそのまま壁際まで行き、大きなカーテンを一気に開いた。

 「うわっ、すごーい」

 思わず声を上げずにはいられない。

 そこには、色取り取りの綺麗なドレスがずらりと並んでいた。

 (高級ブティック?いや、もはやプリンセスの衣裳部屋?)

 そんなことを考える美桜のかたわら、リサは何やら真剣な面持ちでドレスを選んでいる。

 「You can choose any dresses you like,but…(どれでも好きなドレスを選んでもらっていいんだけど…)」

 呟くように言った後、リサは上品な淡いブルーのドレスを手に取った。

 「コレハドウデスカ?」
< 18 / 238 >

この作品をシェア

pagetop