桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 手を高く挙げて美桜に見せてくれたそのドレスは、胸元にオーガンジーが綺麗に幾重か重なり、そこから流れるようなラインのスカート部分が広がっている。

 袖は手首までふんわりと緩く、よく見ると透けるような軽い素材が使われている。

 胸元のデザインのおかげで腰の位置が高く見え、袖口も絞ってあることで手足を長く見せてくれるだろう。

 「素敵なドレス!とっても綺麗」
 
 うっとり見惚れる美桜にリサは頷いた。

 「デハキガエマショウ」
 「え、いやちょっとまって。着替えるの?え、これに?」

 戸惑う美桜をよそに、
 「サイショニシャワー、デショ?」
 とリサが再び通路の奥に歩き出す。

 (え?シャワーって言った?あ、確かにシャワー浴びたいわ。飛行機乗って長旅だったし)
 妙なところは冷静に考える。

 やがて大きなステンドグラスがはめられた扉にたどり着き、リサはその横の更衣室らしき部屋へ美桜を案内する。

 「タオル、アンド、バスローブ、コレネ」

 棚の中からふわふわの清潔そうなタオルとバスローブを取り出し、ドレッサーの上に置くと、
 「Take your time!(ごゆっくり!)」
 にこやかに笑って、部屋を出て行った。
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