桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
 「もうもう、ほんとに信じられない!」
 立ったまま美桜はガシガシと乱暴に頭を洗う。

 備え付けのシャンプーやリンス、ボディソープは、どれもとても良い香りで滑らかだ。

 (どこのメーカーのものだろ?買いたいな、これ)

 そう思って一瞬は冷静になっても、またすぐ投げやりな気分になり、シャワーで一気に洗い流した。

 キュッと蛇口をひねってお湯を止めてから、ふうと深呼吸する。

 (やっぱり見て見ぬふりは出来ない。確かめないと)

 神妙な面持ちで頷くと、髪をタオルでまとめてからシャワーブースを出る。
 とたんにドドドッとものすごい音が聞こえてきた。

 これこそが、さっき扉を開けた時に美桜を驚かせた正体不明のものなのだ。

 おそるおそるもう一度そちらに目を向ける。

 (滝、やっぱりあれって滝だよね?)
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