私とあなたは似ている アイドル×ホステス
私がクラブで働く理由
私と彼は、境遇が似ていた。
だから惹かれたのだと思う。
私が彼に初めて会ったのは、私が働くクラブだった。
「みんな、今日は、VIPのお客様が来るから対応しっかりするように。」
「はい。」
ママさんの張り切り具合からも相当なVIPが来ることが予想できた。
「ママさんが言ってたVIPって誰だろうね?」
「アイドル?俳優?芸人?」
ミーティング後、更衣室でホステス達の予想大会が始まった。
そんな中、先輩ホステスが口を開いた。
「アイドルグループEightのメンバーらしいわよ。最近あの事務所のアイドルがよく来店してるじゃない?」
「そうですね!Eightの宇都宮悠馬だったりして?」
「宇都宮悠馬ですか?絶対私テーブルにつきたいなぁ。」
先輩ホステス達が盛り上がっている中、わたしは、黙々と出勤準備を始めていた。
先輩ホステスの中には、芸能人に会うために始めた人もいる。
でも私は、そうじゃない。
こんな世界に入るはずじゃなかった。
仕方なかったの。
お金が必要だった。
お金のためならわたしは、このクラブでなんだってする。