きみと3秒見つめ合えたなら
 何日か経った昼休み、私は景子に部室に呼び出された。

「絢音、桐谷と付き合ってるの?」
そうきたか...

「付き合ってないよ。たまたま帰りに一緒になっただけで..」

 言い訳ではないが、事実を述べようとする私を景子は遮った。

「たまたま?そんなわけないじゃん。私と帰ってるときは、桐谷、自転車で追い越して行くのに。私がいないと、絢音と並んで帰るんだ。
 絢音って男子に興味ない、みたいなこと言ってる割には、男子に色目使うよね。」

 え?...絶句とはこういうことか、と思った。
 あ、この感じ...小学校の時と同じ。


 続けて景子は言った。
「早瀬くんのこと、応援するって言ったのに、何で私の邪魔するのよ。」

え?景子と早瀬くんは付き合ってるわけじゃないの?たまたま一緒に帰ってただけ?

「私、何も...」
陸上部を去った早瀬くんとは、ほとんど接点はないのに...

「早瀬くんはね、絢音が好きだから、私とは付き合えないって。
 でも、絢音は桐谷がいいんでしょ? 
 早瀬くんに思わせぶりなことしないで、さっさと桐谷と付き合えばいいじゃない。
 そしたら、早瀬くん、絢音のこと、諦めるのに。」


「思わせぶりなんて...。
桐谷くんとは何にもないし...。」
何を言おうと、景子には言い訳にしか聞こえない。

 そして...
 早瀬くんが私を好き?
去年の文化祭以来の衝撃だった。
でも、まさか、まだ私のことを思ってくれているとは...。
 
 夏以来、距離を感じていたのでかなり意外であったが、うれしかった。

 だけど、あの時、私は桐谷くんのといた。別に何かあったわけではないけど。少し心地よさを感じてしまったいた。

 早瀬くんは私と桐谷くんをどう思ったのだろうか。

 結局、景子の言うとおりなのかもしれない。

 私は早瀬くんにも、桐谷くんにもどう思われているのかと気になっているのではないか...と。
 
 2人の間で揺れ動いているために、色々な人に誤解をあたえ、傷つかせている。

 私はやっぱり恋をしないほうがいいのかもしれない。
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