きみと3秒見つめ合えたなら
 春合宿は無事終了した。
最終日、オレは寝不足であまりいい練習はできなかった。

 帰りは現地解散らしい。
現地解散だと、先輩となんとなく一緒に...というのは難しそうだ。

 帰り支度を始めたとき、オレはできるだけ自然に相川先輩の隣をキープした。

「相川先輩、一緒に帰りましょう。」

 こっそり言ったにも関わらず、相川先輩のリアクションが大きくて、オレの方が他の部員にバレないかドキドキした。

 辺りを見渡した先輩は
「い、一緒になんて、無理、無理。ほら、みんないるし。」
と、焦っている。

 すんなりOKしてくれるわけないか。
 いや、やっぱり、嫌なのかな?

 ただ、オレも引くに引けず、
「じゃあ、偶然、装います。」
と言って、他の部員に怪しまれないように、相川先輩の隣を離れて、同級生のところへ行った。

 そう言ったものの、どうやって偶然を装えばいいのか、そもそも、相川先輩が本当にオレが嫌で、避けるように帰ってしまったら、ヘコむよな、オレ...なんて色々悩んでいた。
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