きみと3秒見つめ合えたなら

〜恭介side〜彼女の気持ち

 全然眠れなかった。

 キスくらいでドキドキするようなオレではなかったはずなのに、相川先輩とのキスを思い出すと頬が緩んでしまう。

 でも、オレも焦っていて、自分の気持ちは伝えたが、先輩の気持ちは聞けなかった。

 キスを受け入れてくれた...と思っているが、先輩はぼーっとしていて、よくわからない。

 本当は嫌だったんじゃないか...という不安にかられる。

 結局、一睡もできず朝を迎えた。

 早朝ジョギングにむかう途中で茉莉に会った。茉莉を見て思い出した。
完全に忘れていた。 

「恭介、おはよう。」茉莉は怒ってる。
「ご、ごめん。寝てて、気がついたら朝だった。」
 超寝不足なのに、このウソバレないか?とヒヤヒヤする。

「あ、そう。じゃ、またあとで。」
茉莉は素っ気なくオレを追い越して行く。

 相川先輩がいた。
先輩は眠れたのだろうか。

「おはようございまーす。」
相川先輩の隣りにいた佐山先輩に挨拶をした。
相川先輩の顔は驚いていた。

「あ、桐谷、おはよう。今日、早いね。」
相川先輩の驚いた顔をみたら、オレの鼓動が早くなった。

「あんま、寝れなくて、そのまま来た感じっす。」
ドキドキし過ぎで、ウソがつけず正直に答える。体に汗をかくのがわかる。

 相川先輩はどうだったんだろう。
 冷静に、いつも通りに、相川先輩に接しなくては。

「相川先輩は眠れました?」

 心臓が飛び出すかと思うくらい、緊張しながら、呪文のように、いつも通りに...と心の中で唱えながら、先輩に話しかけた。

 また先輩は驚いた表情をする。
あんまり、声、かけないほうがいいのか?

 相川先輩は
「うん、そうかも。」「まあね。」なんて当たり障りのない返事しかしない。
目も合わない。
やっぱり嫌だったのかな...。


 そんな感じなので、
99%くらい嫌われた...と思った。

 だけど、練習中は意外にも目が今まで以上に合った。

 先輩の気持ちがわからない。
 先輩の気持ちが知りたい。
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