きみと3秒見つめ合えたなら
 思ったとおり、先輩は部活に来なかった。
 その夜、迷ったが、先輩に、メッセージを送る決意をした。どう送っていいのか、2時間くらい悩んだ。

『先輩、大丈夫?
ごめん。オレのせいで。
でも絶対、先輩のことは守るから。
部活、来て。こんな噂のために最後の大会、諦めないで。』

 だだ、正直な気持ちを伝える。

 既読になるも、先輩からの返信はない。
先輩は、大丈夫だろうか?
心配になってオレはもう一度、メッセージを送る。
こんなことしか今のオレにはできなくて。

『オレと先輩の間には何もないって。
オレもそう言えば、噂だってすぐに収まるよ。先輩には迷惑かけないように、先輩とは話さないようにするから。
大丈夫、噂なんてすぐ消えるから。
先輩はいつもどおりにしていて。』
 
 オレの想いに対する先輩からの返事は気になるけれど、今はそれより、先輩が辛くないか...それだけが心配だった。

 そしてこの噂は先生たちの耳にも入り、オレと先輩はゴンちゃんに呼び出された。

 オレはとにかく、しらを切る。

 付き合うくらいでは何も言われないだろうが、恐らく、駅のホームという公衆の面前で抱き合ったとかキスしていた、なんて事が事実であれば、何かしらの処分がくだされるかもしれない。
 事実な部分もあるが、受験を控える先輩のためにも、それだけは避けたい。
< 95 / 129 >

この作品をシェア

pagetop