きみと3秒見つめ合えたなら

〜恭介side〜彼女を守るための嘘

 相川先輩に想いを伝えた。ゆっくりでいいから、オレのことを考えてほしいと言った。
 
 だけど、春休み中、先輩からの返事は、全くない。むしろ、部活では避けられている。

 新学期、後1年しか先輩に会えない。いや、部活を引退されてしまったら、そこで唯一の接点がなくなる。部活を引退する前に、どうにか振り向いてもらえないだろうか。

...そんなことを考えていた。
まさか、あんな噂が広まるとは知らず。

「恭介、お前やるじゃん、あの先輩と付き合ってんだって?」前に先輩と帰るところを邪魔した松野がやって来た。

「はぁ?付き合えてないし。」
「え?そうなの?結構、噂になってるけど?」

 なぜ新学期早々、オレと相川先輩が付き合ってるなんてデマが流れているんだ?

 やたらと3年の女子がオレの教室に来るのもそれが原因らしい。

 オレはデマの元ネタを知りたくて、いろんなやつに聞きまくった。

 そして突き止めた。

「あー、お前とその先輩が駅で抱き合ってたって、聞いたけど。」
...そういうことか。誰かに見られていた。

 オレは、自分のことより相川先輩は大丈夫なのか心配だった。
 好きでもない...かもしれない男と噂になるのは嫌だろう。
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