きみと3秒見つめ合えたなら

〜聖斗side〜彼女の答え

 次の朝も返信...どころか既読にもならない。

 体調でも崩したのだろうか?

だけど更に何かメッセージを送る勇気はなかった。

 モヤモヤした気持ちを払拭するかのようにオレは練習に没頭した。

 15時ごろ、ふとスタンドを見ると、相川と佐山がいた。
 でも、相川はすぐに席を立った。
 帰るのだろうか?
 オレはトイレだと嘘をついて、ゲートに向かった。

「相川!」
よかった。間に合った。

「早瀬くん...」

「相川、合宿終わった?」
かける言葉が見つからなくて、しょうもないことを聞いてしまった。

「うん。」
元気がない、ように感じた。

「大丈夫?」
「え?」
「元気ないから。何かあった?」

「大丈夫。ちょっと練習ハードで疲れたのかな。」
それとは違う、元気のなさに不安を覚えた。

「だったらいいけど。電車、大丈夫?佐山と一緒の方が良くないか?」

「もう、大丈夫。」

 相川はいつも大丈夫という。

 オレには相川の不安な気持ちを解決してやることはできないのか。
 オレがそうしたくても、相川がオレにはそれを望んでいないこともわかる。


「...あいか」
オレが声をかけようとしたが、
相川はそれを遮って
「じゃ、帰るね。早瀬くん、頑張ってね。」と、背を向けた。

「相川、オレでよかったら、いつでも連絡して。」と言いたかったが、相川にはやっぱり必要ないのかな。

 オレは朝よりもモヤモヤした気持ちが大きくなっているのがわかる。

 もっと本音をぶつけたらいいのに、それができない自分にがっかりする。
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