ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


 週末の土日、隣の家に人が出入りしてる気配。

 私は自分の部屋から外を覗き見る。


「引っ越し業者さん?」


 トラックから降ろした荷物を、隣の家に運び入れる作業服姿の人たち。

 すぐに作業は終了したらしく、短時間で帰っていった。


「ずっと空き家だったし、売れたのかな?」


 新しい隣人は気になるけど、荷物が少ない。

 これから家族が使う大きな家電や家具が運び込まれてくるのだろうか。

 色々な妄想が頭に浮かんでしまう。


 大好きな幼なじみが住んでた家に、知らない人が引っ越して生活するなんて……


「ちょっと、イヤだな……」


 私は自分の部屋から隣の家を見つめながら呟いてしまう。


「奈緒くん、いまごろどうしてるんだろう……」


 小学生の時に転校した幼なじみの名前を呟きながら、部屋の中に視線を戻す。

 ハンガーに吊してある高校の制服が、ふと私の目にとまった。


「明日から学校か……」



 憂鬱な気持ちのまま、私は週末を終えてしまう。



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