【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
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メルシアが起きた時、すでに隣にランティスはいなかった。
どこに行ったのかと、窓の外に目を向けると、素振りをしているランティスを発見した。
普段であれば、「訓練をしているランティス様! レア! かっこよすぎて一人で見るのが、申し訳なくなってくる!」と、推し活にまい進するところだが、今のメルシアはそれどころではない。
(ま、また無理して!)
慌てて、部屋着の上に簡単に上着を羽織ると、メルシアは駆けだした。
ようやく起き上がれるようになったばかりなのに、どうしてランティスは無理ばかりするのだろうか。
「ランティス様!」
「……メルシア」
(見つかってしまった、という雰囲気を出すくらいならやめて欲しい)
困ったように笑っているランティス。
でも、メルシアは怒る気持ちにはなれなかった。
「――――心配、するじゃないですか」
「ちょっと、精神統一しないと……。さすがに」
「え?」
「っ、なんでもない。昨夜は、すまなかった」
いつものランティスだ。
時々現れるラティのようなランティスも、メルシアは大好きなのだけれど。