【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「…………私は、幸せでしたよ? 結婚したら、一緒に寝ましょうね?」
「うっ、煽るなと言っている」
首をかしげるメルシアと、赤くなってしまった頬を隠すようにそっぽを向くランティス。
(どうして……? 結婚したら、一緒の部屋で眠るものじゃないの?)
見つめているメルシアの表情に、何かを察したらしいランティスは、長い溜息をついた。
「あまり、そういうことを言ってはいけない」
「ランティス様にしか、言いませんよ? だって、未来の旦那様でしょう?」
「――――今の俺に、言うのもダメだ」
「えっ、どうして」
「どうしてもだ」
どうしたらいいのかと困惑するメルシアと、あまりに危機意識のないことに自制心を奮い立たせるランティス。
「可愛すぎるから、あまり可愛いことばかり言わないで」
「…………ふぇ?」
「俺の自制心を試してばかりいると、ひどい目に合う」
「――――ランティス様は、私にひどいことしないですよね?」
「うぐ」
その信頼に答えたい自分と、メルシアを泣かせてしまいたい自分に葛藤するランティスを、誰が責めることが出来るだろう。
そうこうしているうちに、ランティスの体は熱を帯びて、メルシアの目の前には、久しぶりに会ったラティの姿があった。
「ワフッ!」
今日も、頭突きしてくるのかという勢いで、メルシアにラティが飛び込んで来た。
(自分の意思で、変身していないせいか、いつものラティだわ……)
「わぷ?!」