【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
言葉数も少なく、侯爵家の嫡男であることと、騎士であることくらいしか取り柄のない男。
それがランティス・フェイアードという男だった。
少なくとも、本人はそう考えている。
もしも心の声が聞こえたのなら、こんなすれ違いはなかったに違いない。だが、人は普通、心の声を聞くことはできない。
「……遠くから見ていた君は、あんなに幸せそうに笑っていたのに」
メルシアから距離を取ったランティスは、つぶやいた。
騎士団の訓練を観に来ていたメルシアは、いつもニコニコと微笑んでいた。
きっと、騎士団に意中の騎士がいたのだろう。
たとえば、命の恩人、ベルトルト・シグナー。
次の瞬間、体が熱く燃えそうになり、ランティスの体は狼のそれになる。