言えないまま・・・
自分の顔が一瞬強ばるのがわかった。

動揺をさとられまいと、平然とした表情でマルゲリータにかぶりついて答えた。

「あ、直太の従弟の日色アキさんのことかな。」

「途中で帰ってたんだったら、きっとその人。彼ってさ、かっこいいよね。」

一番今振って欲しくない話題。

「そう?」

「そのアキさんって人、彼女いるのかな?」

「・・・。」

思わず思考が一時停止。

「ハル?何かまずいこと聞いた?」

慌てて、目線を優花に向けた。

「え、いや。うううん。彼女がいるとか、そんなことあんまり知らなくて・・・。」

うそつきハル。

「そりゃそうだよね~。直太さんの従弟さんのことなんか詳しいわけないか。いや、なんか私にしては珍しくドキッとした相手だったんだよね。」

「ふうん。」

「お式が始まる前にロビーで同期の皆としゃべってた時に、ものすごい慌てた様子でそのアキさんがホテルに入ってきたのね。よほど慌ててたのか、髪はおろしたままだったんだけど、ちょうど私の目の前で前髪を掻き上げて髪を一つに束ねたの。その姿が、もうめちゃくちゃ格好良くて、思わず見とれてたら、いきなり私の方を向いて、これまたとびきりの笑顔で「こんにちわ。」なんて言うのよ!」

優花は、両手を組んで、うっとりとした表情をした。

そんな優花を見ながら、アキのその姿を想像してドキドキしている自分がいた。

「私、あんな素敵な人、見たこと無くって、完全にノックアウト。それから、ずーっと気になって気になって、これはもうハルにお願いするしかないって、今日思い切って誘ったんだ。」

優花の頬は赤く染まっていた。

いつも冗談ばっかで楽しい優花だけど、根はとても真面目な女の子。

そんな話、いい加減な気持ちで言うはずがなかった。






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