トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
ワイワイと盛り上がっていると、ノックの音がして、紗季が顔を覗かせた。

「明日香ー、ちょっといい?あ、スケッチブックも持って来てね」

明日香は返事をし、またあとでねと3人に言い残して部屋を出た。

「ちょうど今、うちのオフィスのスタイリストもこの仕事で来てるの。明日香はまだ会ったことがないから紹介するね」

紗季のあとに付いてエレベーターホールまで行くと、窓際の小さなカウンターで女性が1人パソコンに向かっていた。

「陽子ー、お待たせ!」

紗季が声をかけると、笑顔で振り向いたその女性は、隣の明日香を見たとたん、驚いて目を見開いた。

「え、ちょっ、紗季さん、この子ですか?新しく入った子って」
「そうよ。明日香っていうの。宜しくね」

慌てて明日香も頭を下げる。

「小池明日香と申します。宜しくお願いします」
「あ、陽子です。宜しく」

ぶっきらぼうにそう言うと、陽子は再び紗季を見る。

「紗季さん、大丈夫なんですか?こんなに若い子…」
「大丈夫よー、こう見えて明日香、しっかり者よ」
「そうじゃなくて!」

そう言うと陽子は、ちらっと明日香を見てから紗季に近付いて声をひそめる。

「彼女、もしかしてうちのメンバー目当てで入ってきたんじゃ…」
もしそうだとしたら、大変ですよ。オフィス クリスタルの信用にも関わるし…
と続ける陽子を、紗季は笑って手で止める。

「それはないわ。明日香を誘ったのは私だし。第一あの子ったら、私が教えるまで知らなかったのよ、"あなたのとこの子達"をね」

含み笑いでそう言う紗季の言葉に、ええー?!と陽子はのけ反った。
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