星みたいな恋をしよう
絆がまだ体を震わせながら強く閉じられた目を開けると、のんびりとサラダを食べている一と目が合う。刹那、一は馬鹿にしたようにフッと笑った。姉が殴られたというのに何で笑うんだとまた怒りが込み上げてくるものの、口にすればまたきっと殴られるだろうと思い、言葉を必死で殺す。

絆がこの村が大嫌いなのは、この父親のせいである。勝は一言で表すのならば、この家の暴君だ。

この村はもう令和だというのに、未だに男尊女卑が根強く残っている。男性は働き、女性は結婚したら仕事を辞めて、家事と育児をするのがこの村では当たり前だ。そして、女性は男性をまるで王様のように扱い、従うように幼い頃から教えられる。

例えば、親戚がお盆やお正月に集まった時、女性は朝から晩までほとんど休むことなく料理を用意し、男性の酌をし、男性の食べた皿を片付けてなくてはならない。男性は手伝うこともなく、ゲームをしたり好きなように過ごせるのにだ。絆も何度も手伝わされてきた。それに少しでも反抗すると、「女の子は反抗しないの!」と叱られるのだ。
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