星みたいな恋をしよう
勝も一も、絆がどんどんおかしくなっていることに気付いていない。むしろ、従順な使用人になっていることに喜んでいる。

「俺は、会社の先輩とゴルフに行ってくる」

「俺、遊びに行ってくるわ。家事サボんなよ」

勝はゴルフバッグを片手に出て行き、一も家を出て行った。絆は無表情でそれを見送り、洗濯物を干し始める。今日は日曜日だ。雲一つない青い空が広がっている。

「……」

無表情、そして光のない暗い目で絆は洗濯物を干していく。どこからか聞こえてきた子どもの笑い声に絆は耳を塞ぐ。真由美を失い、家事を押し付けられるようになってから、もうずっと笑っていない。笑うことを忘れてしまった。

「絆?」

ふと声をかけられ、絆は振り返る。そこにいたのは、長い黒髪の綺麗な女性がいた。だが、絆はその女性に見覚えがある。あの時よりもずっと大人びているが、誰なのかはっきりとわかる。

「……光里、姉?」

「絆、あんた絆なの!?」
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