国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「女性番号は何番だ?」
「女性番号は782です」
「女性番号782、782、782……。フローラ・ヘルム、騎士団所属」
「女性騎士か?」
「そのようですね」
 ふむぅと関係者は唸った。あの魔導士団副団長の相手が女性騎士。彼の子を孕むだけの魔力があるのか。
「ん? どうやら彼女は魔法騎士のようです」
「なるほど」
 魔法騎士とはその名の通り、魔法を使うことができる騎士のこと。攻撃魔法を自分の武器に付与し、それで魔獣等を討伐する。もちろん、魔導士ほどではないが魔法を使うこともできる。
 魔法騎士が扱う武器は特殊であり、魔力と剣技を備えるような人物はそんなにはいない。確か、魔法騎士隊は数人程度しかいなかったはずだ。
 だが魔法騎士は魔導士程の魔力は備えていない。その魔力で彼の子を、というところは少し心配なところでもある。
 ただしこれは国を挙げて行う政策であり、それの結果が95パーセントという高い数値を叩き出している以上、それを信じてみる価値はある。
「すぐに陛下に連絡を」
 バタバタと関係者たちは動き始めた。国の政策によって始まろうとしていたマッチング婚、ではなくマッチング見合い。その第一号が今、誕生しようとしていた。
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