国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「見えなくても、あなたのことならわかりますよ」
 クリスの甘い声すら刺激になる。
 フローラはクリスの首に両手を回し、その身体を預けようとする。
 フローラの熱い吐息と二人の交わろうとする音が部屋に響く。
「フローラ……。少し腰をあげて」
 フローラが膝をついて、少し腰を浮かすと確実にクリスが攻め入ってきた。
「ゆっくりと、腰をおろして。そう、上手ですね」
 クリスの言葉に誘われるように、フローラはゆっくりと腰を沈めていく。
「足を伸ばしましょうかね。これでは、奥まであなたに入れない」
 曲げた膝をソファについていたフローラだが、クリスの手がその足を伸ばすようにと、ゆっくりと誘導する。
 彼女を支えるものがなくなったから、自身の体重によってフローラの身体は沈められた。
 卑猥な言葉をクリスは彼女の耳元で囁く。
 羞恥に包まれた彼女の顔は、ほんのりと赤く色づく。
 重なり合い、お互いの体温と鼓動を感じ合う。荒い息遣い。衣擦れの音。淫らな水音。
 ふと、端正なクリスの顔が瞬間的に歪み、フローラを強く抱きしめる。必要なものを全て、彼女に注ぎ込むかのように。
 何度高みに導かれたかわからないフローラは、くたりと頭を彼の胸に預けた。
< 180 / 254 >

この作品をシェア

pagetop